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なぜUCCはRobloxでコーヒー農園を作った?子どもに「広告ではなく体験」を売る理由

なぜUCCはRobloxでコーヒー農園を作った?子どもに「広告ではなく体験」を売る理由

UCCのRoblox進出は単なるゲーム化ではありません。コーヒーをまだ日常的に飲まない世代に、広告より先に「体験」を届ける長期的なブランド戦略です。

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コーヒー会社が、なぜRobloxで農園ゲームを作るのか。

一見すると、若者向けに話題を作るための変わった広告企画にも見えます。

しかし、UCCの「BECOME A COFFEE FARMER」を見ると、狙いはもう少し長期的です。

プレイヤーはコーヒーチェリーを探し、農園で育て、収穫し、精製し、焙煎し、販売します。つまり、商品の宣伝を見せるのではなく、コーヒーができるまでの体験そのものをブランドとの接点にしているのです。

UCCが掲げるのは「次世代のコーヒーファン創出」

UCCは、このゲームの目的として「次世代のコーヒーファン創出」と「サステナビリティ教育」を掲げています。

ここで面白いのは、ターゲットの中心にZ世代やα世代がいることです。

今すぐ大量にコーヒーを買ってくれる人だけを狙うなら、もっと直接的なキャンペーンの方が効率的でしょう。

それでもUCCは、まだコーヒーとの接点が浅い世代に、先に農園や生産工程を体験してもらう方法を選びました。

つまり「今売る」より、「将来コーヒーを飲む世代に、先にブランドとの記憶を作る」発想です。

子どもはコーヒーを飲まないのに、なぜ意味がある?

ブランドにとって、商品購入だけが接点ではありません。

「コーヒーは赤い実からできる」「豆になるまでに乾燥や選別がある」「焙煎で仕上がりが変わる」。こうした知識をゲームで覚えると、その体験そのものがブランド記憶になります。

UCCは以前から学校向けのコーヒー教育にも取り組んでおり、調査資料では累計約21万人以上が体験してきた実績が示されています。

「BECOME A COFFEE FARMER」は、その教育活動をデジタル空間へ拡張したものと考えると分かりやすいでしょう。

なぜCMではなくRobloxなのか

CMは数十秒で終わります。SNS広告もスクロールされれば終わりです。

Robloxのゲームは違います。

プレイヤー自身が世界に入り、歩き、探し、育て、失敗し、また試します。ブランドが用意した空間の中に滞在する時間が長くなります。

UCCにとって重要なのは、「UCCという名前を一瞬見てもらう」より、「コーヒー農園で遊んだ記憶を持ってもらう」ことなのかもしれません。

調査資料では、UCCの狙いを端的に「広告ではなく体験」と整理しています。

ゲームの中で、商品ではなく「工程」を見せている

企業ゲームというと、商品パッケージを集めたり、ロゴが大量に表示されたりするものを想像しがちです。

「BECOME A COFFEE FARMER」は少し違います。

プレイヤーが長く触れるのは、コーヒーチェリー、農園、乾燥、脱穀、選別、焙煎といった工程です。

つまり、UCCは「この商品を買ってください」と言う代わりに、「コーヒーはこうやってできています」をゲーム化しています。

ゲームの詳しい遊び方はこちらでまとめています。

Robloxでコーヒー農園?UCC「BECOME A COFFEE FARMER」は何ができる?遊び方・無料情報まとめ

現実のコーヒー生産をどこまで再現している?

ゲームでは、コーヒーの木を育て、赤いチェリーを収穫し、乾燥、脱穀、選別、焙煎、販売までを体験できます。

もちろん現実とは違い、数日かかる乾燥工程は短時間で終わり、剪定や開花など細かな農作業は省略されています。

それでも、生産工程の大きな流れはかなり丁寧に残されています。

そのうえで、レアなチェリーを探す、焙煎の仕上がりで価格が変わる、農園を装飾するといったゲームらしい要素が追加されています。

UCC側も、現実を忠実にしすぎるとゲームとして面白くなくなるため、リアルさと遊びやすさのバランスを調整したと説明しています。

サステナビリティ教育もゲームに入ってくる

UCCは今後、コーヒーの「2050年問題」や、化学肥料に頼らないネイチャーポジティブ農法などの要素を追加する計画も示しています。

これは、このゲームが単なるローンチ時の話題作りではなく、継続的な教育コンテンツとして設計されていることを示す材料です。

コーヒー生産は気候変動と無関係ではありません。ゲームで農園を体験した後に、生産地の環境問題へ興味を広げる導線を作れるなら、企業PRと教育がかなり近い場所で重なります。

三ツ矢サイダーもRobloxで工場を作っている

UCCだけが特別なことを始めたわけではありません。

国内ではアサヒ飲料の「三ツ矢サイダーファクトリータイクーン」が先行事例としてあり、飲料の製造工程をゲームとして体験できる企画が行われています。

違いはテーマです。

三ツ矢サイダーは「工場」を舞台に製造を体験させるのに対し、UCCは「農園」から始めています。

完成品ではなく、原料ができるところから体験させられる点は、コーヒーという商品の特徴と相性がいいと言えます。

企業がRobloxへ入る理由

Robloxでは、ユーザーがアバターで仮想空間に入り、自分で操作しながら世界を体験します。

そのため企業側は、商品説明を読ませるのではなく、ブランドの世界観を「遊ばせる」ことができます。

海外ではNikeやGucciなどもRobloxを活用しており、日本でもメディア、玩具、自動車、飲料などさまざまな業界で企業コンテンツが増えています。

企業にとってRobloxは、広告枠というより「ブランドの遊園地」を作れる場所に近づいています。

子ども向けだからこそ、安全面も企業体験の一部になる

若年層へ接触できることは企業にとって魅力ですが、同時に安全性への配慮も重要になります。

「BECOME A COFFEE FARMER」自体は穏やかな農園ゲームですが、Robloxでは他のプレイヤーと同じワールドに入り、チャットなどの機能も使われます。

子どもが遊ぶ場合の対象年齢、無料・課金、安全面については別記事で整理しています。

UCCのRobloxゲームは何歳から?無料・課金・安全性を保護者向けに解説

UCCは「ゲーム会社になりたい」わけではない

今回の取り組みを見て、「UCCがゲーム事業へ進出した」と考えると少しずれます。

ゲームはあくまで手段です。

農園体験を通してコーヒーの背景を知ってもらう。若い世代との接点を作る。サステナビリティを教える。そして将来、コーヒーを飲むときにUCCという名前を思い出してもらう。

その一連の流れを作るために、Robloxという場所が選ばれています。

「広告を見せる」から「ブランドを遊ばせる」へ

企業マーケティングの面で見ると、「BECOME A COFFEE FARMER」はかなり象徴的です。

商品を見せるだけではなく、商品が生まれる工程にユーザーを参加させる。

コーヒーの実を探し、木を育て、豆を選別し、焙煎する。そこで過ごした時間そのものがブランド体験になります。

広告を何回表示したかではなく、どれだけ長く世界観の中で遊んでもらえたか。企業がRobloxへ入る理由は、そこにあります。

まとめ:UCCが売ろうとしているのは、今の一杯より未来の記憶

UCCのRobloxゲームは、単なる若者向けの話題作りではありません。

コーヒーをまだ深く知らない世代に、まず農園を遊んでもらう。その中で、コーヒーができるまでの工程や生産地の存在を知ってもらう。

今すぐ一杯のコーヒーを売るよりも、未来のファンを育てる。そんな長い時間軸のマーケティングです。

企業が広告を「見るもの」から「遊ぶもの」へ変え始めている。その流れを、日本のコーヒーブランドがかなり分かりやすい形で見せた事例と言えそうです。

参考資料

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